こんな悩みが解決します。
- 今年から初めてプールの管理を任されたけど塩素の管理方法がよくわからない・・・
- 普段は機械をいじることがほとんど無いから不安・・・
水泳プールの塩素管理って普段の業務や生活で使わないから難しいと感じると思います。
特に初めての方は、どうすればいいかよくわからず不安ですよね。
でも大丈夫!初めての人に向けてわかりやすく説明します!
- 水処理業界で14年以上在籍
- 取得資格:2級管工事施工管理技士、第2種電気工事士
- ろ過機器の設計から保守点検まで幅広く経験
- 仕事で得た知識をわかりやすく解説するのが得意
この記事では、小学校の水泳プール管理が初めての方向けに下記を解説します!
- 次亜塩素酸ナトリウム(塩素)の役割
- 塩素濃度測定の方法
- プール塩素濃度の基準値【0.4~1.0ppm】
- プール水素イオン濃度PH値の基準は【5.8以上~8.6以下】
- 塩素投入量の求め方
- 塩素管理で気を付けるべきところ
- スポーツクラブや宿泊施設のプールでも使える知識
ボクは15年間水処理関係の会社に勤めています。
実際に小学校の水泳プール濾過機の保守点検や取り扱い説明等もしています。
その時に感じることが、真剣に説明を聞いてくれて本当に責任感を持って
管理をしてくれているんだなということがよくわかるんです。
他にも業務があり忙しいなか水泳プールの管理もこなす姿には本当に頭が下がります。
子供達はプールを楽しみにしています。
楽しむためには「安全」が第一です。
そのためにも、塩素管理というのは最重要事項と言っても過言ではありません。
ボクも楽しそうに泳いでいる子供達を見るとうれしいです。
普段の業務で忙しい方の、少しでも助けになれば、
そして子供達が安全にプールを楽しむことができるようにと思いこの記事を作成しました。
ここで説明する知識は小学校の先生以外でも
- 教育委員会の担当者
- ジム・スポーツクラブのプール
- ホテル等の宿泊施設のプール
- 温水プール
- 保育所・幼稚園のプール
このような大規模~小規模なプール施設でも共通で使える知識です。
是非役立ててください。
それでは塩素管理について説明していきます。
塩素の正式名称は次亜塩素酸ナトリウムといいます。
プールで塩素臭いというのはこれを注入しているためです。
ちなみに、お風呂や水道水にも塩素は入っています。
塩素の役割は簡単に言うと水の消毒です。
人間の体からの雑菌や外部からの雑菌が水中で繁殖することを防いで水質を維持してくれる役割があります。
ちなみに水を消毒するのに安価で簡単な一番の方法が塩素なので色々なところで利用されています。
塩素は、たくさん入れればいいわけではありません。
基準値(0.4~1.0ppm)内で維持しなければなりません。
塩素濃度の値を調べる方法で
一般的なのはDPD法での比色による測定です。
簡単に言うと、採水したものに試薬を入れて、変化した色を見比べて濃度を判定する方法です。
塩素濃度測定器はアナログ式とデジタル式があります。
私のおすすめはアナログ式です。
おすすめの残留塩素濃度計はこちら↓
小学校のプールであれば以前から使用しているものがあると思うのでそれを使用してもらえればと思います。
1日の測定回数は最低でも午前中1回以上と午後2回以上は測定して記録を付けておいてください。
その中の一回は遊泳者がピークの時に測定するのが望ましいです。
これは、ピーク時にきちんと基準値内に収まっているかを確認するためです。
塩素濃度には基準があります。
プールの塩素濃度の基準は「0.4~1.0ppm」です。
ただ、下限は0.4ppmですが授業前に基準値ギリギリだと
授業開始後に0.4ppm以下にすぐなってしまうため基準値から外れてしまいます。
そのため、少し高めに設定(0.7~1.0ppm)するのをオススメします。
私のオススメは0.7~1.0ppmです!この位で維持すれば問題ありません。
また、上限の1.0ppmについては、これを少しでも超えたからと言って
すぐにダメということではありません。
塩素の入れすぎ防止としてある程度余裕を持っての設定だと思います。
目安としては「1.5ppm」くらいまでは許容範囲です。
下の記事では液体塩素の希釈倍率のオススメ等を解説していますので合わせて見ておくと理解が深まるかと思います。
塩素測定場所はプールの四隅で2箇所・プール中心部近くで1箇所の計3箇所で測定することをおすすめします。
特にプール四隅は水が動きにくい(死に水)場所のため塩素濃度が低くなりがちなところです。
そのため低くなりがちな四隅の濃度が重要です。
藻が生えるのが四隅からが多いのはこの塩素濃度が低いことが影響しているんですね
【もう繰り返さない】屋外水泳プールに藻が発生した場合の具体的な対策法をわかりやすく解説塩素投入量の求め方は下記記事にて説明していますので参考にして下さい。
塩素管理をする上で気を付けるべきところを説明します。
塩素は紫外線と高温に弱い
塩素の特徴として紫外線と高温に弱いというものがあります。
そのため、夏場の晴天の日と気温の低い雨の日では塩素の消費量がまったく違ってきます。
夏場の晴天の日は塩素濃度は高めに!すぐに濃度が落ちちゃうから注意!
塩素は使う分だけ購入する
塩素は開封しなくても時間の経過とともに濃度が下がってきます。
購入時12%のものだと半年で約半分の5.3%程度・1年経過すると3%程度まで低下します。
そのため、塩素は大量購入しないで使用する分だけこまめに購入することをおすすめします。
塩素を取り扱う時はゴム手袋・ゴーグル・エプロンをする
塩素はPH値12以上と強アルカリ性のため「素手で触れたり」「目に入るの」は避けなければいけません。
例えば、素手につけばぬるぬるします。
これは、皮膚のたんぱく質を溶かしてしまうためです。
もしついてしまった場合はすぐに、よく水洗いをして下さい。
それを防ぐために、ゴム手袋とゴーグルの着用を推奨します。
また、塩素は漂白成分があるため服につくと色が抜けてしまいます。
大量に着くと穴があいてしまいますので塩素を取り扱う時はなるべく
エプロンを付けるか最悪穴があいてしまってもいい服を着てやりましょう。
着替えるのが面倒だとスーツを着てやると後悔の元になるので、気を付けましょう
塩素の保管は冷暗所で生徒の触れないところにする。
上記でもふれましたが塩素は高温と紫外線に弱いため保管は必ず冷暗所にして下さい
また、塩素の現役は子供が扱うには危険なため生徒達が触れないところにしてくださいね。
おまけ 塩素の移し替えを楽にする方法
塩素を薬液タンクに移し替える時はどのようにしてますか?
塩素の容器を持って直接入れてますか?
小さな容量だといいんですが通常18Lで購入することが多いと思うので結構大変だと思います。
直接入れると塩素がハネて来る危険もあるので簡単で安全な方法を紹介しますね。
まず、新品の灯油ポンプを用意して下さい。
ホームセンターでも売っていますね。
この灯油ポンプを利用すると楽に移し替えが可能です。
そして、使い方を少し工夫します。
ただシュコシュコして移し替えるのは手が疲れるのでさらに効率をよくします。
こんな感じで「移し元の塩素容器(左)」を「移し先の薬液タンク(右)」よりも高い位置に置きます。
そして、何度かシュコシュコして塩素が一度通ってしまえばあとは見ているだけで勝手に塩素が流れ込んでいきます。
これはサイホン現象を利用しています。
サイホン現象wikiより
何らかの液体を、高い位置にある出発地点と低い位置にある目的地点を管でつないで流す際、管内が液体で満たされていれば、管の途中に出発地点より高い地点があってもポンプでくみ上げることなく流れ続ける。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3
よければ使ってみてください。
- プール水がすごく汚れている場合。
汚れに反応して塩素が消費されてしまうためです。
対策は、さらに塩素を追加することです! - 残留塩素濃度測定の試薬が経年劣化している場合。
試薬が古いものを使った場合に検出されないことがあります。
劣化しているかの判断は水道水(0.1ppm以上で検出される)を測定してみるのが手っ取り早いです。 - 測定器の比色管が汚れている場合。
比色管をよく洗浄してください。比色管は常にきれいにしなくてはいけません。
普段の測定時に試薬投入後の着色している水を比色管に入れたままにしてはいけません!
・塩素ディスペンサーを利用する。
固形の塩素をディスペンサーに入れてプールに浮かべておく方法です。
時間をかけて溶けていくので塩素濃度を維持することが出来ます。
・塩素注入機にタイマーを付ける若しくは付いているのであれば活用する。
タイマー制御で塩素が入る時間帯と入らない時間帯を設定する方法です。
・自動塩素濃度計を付ける。
自動塩素濃度計を付けるのが一番管理の手間が省けます。
ただしネックになるのが機器自体が高額ということです。
装置自体で40~50万で取り付け工事費用も合わせると70~80万かかります。
・塩素濃度が上がりすぎない程度に注入量を調整する。
現在の設備に手を加えないで調整する方法です。
- 塩素の役割は水の消毒
- 塩素濃度の測定はDPD法による比色測定(おすすめはアナログ式)
- 残留塩素濃度の基準値は0.4~1.0ppm
- 塩素は紫外線と高温に弱い
- 塩素の取り扱い時はゴーグル・エプロン・手袋を付けて最悪穴が開いてもいい服装で
塩素管理というのは普段の生活でやることがないため最初は難しいと思います。
塩素濃度というのは外部の色々な条件が合わさって決まります。
その日の天気・泳ぐ人数によって塩素濃度の消費量が変わるためある程度の経験則が必要になってきます。
ただ、こちらの計算フォームを使えば、注入量の目安は出せるので活用して下さい。
塩素がなかなか上がらない!というときの対処法を解説しています。
→【プロが解説】プール・お風呂の塩素濃度が上がらない原因10選【エア噛み・塩素スケール】
過去に起こったミスを知ることで同じミスを防げます。
→【過去から学ぶ】実際に水泳プール管理ミスで起きた事件とその対策
ヘアキャッチャーってなんで掃除するの??と思ったら読んでください。
→【お風呂・プール】濾過器ヘアキャッチャーの清掃方法と実施の必要性
プール管理で何かお困りのことがありましたら問い合わせフォームかコメント欄で質問して下さい。
正しい知識を身につければ子供たちの安全に繋がります。
少しでも助けになればうれしいです。
気軽に聞いて下さいね!
ボクが自作した残留塩素濃度記録表です。
よければコピーをして使ってくださいね。
残留塩素濃度の日常管理でお役立て下さい。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
AEDはプールには欠かせません。
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